『シッ!』は可愛さや親しみのある作品で国内外の美術界で注目されているキム·フンギュ、スン・イジ、Wong Ping、Tala Madaniの絵画とアニメーションを展示します。4人の作家の共通点は、かわいいキャラクターと漫画的要素および技法で観覧客の視線をひと目でとらえて作品に没頭させるという点と想像力が加味された寓話的イメージや風刺的な言語遊戯を通じて多様な社会的イシューに対する話を聞かせてくれるという点です。
洗練された漫画やアニメの中のキャラクターや日常の中でみたことある場面が描かれたキャンバスやスクリーンは、まるで私たちが一日中覗いているメディアの液晶フレームを想起させます。作品内で扱う素材やイメージもまた、私たちが情報社会の反復的なフィードと有名なミームを通して、どこかで見たことがあるイメージです。しかし、この身近なイメージやキャラクターたちは、単純に「可愛い」にとどまらず、ウクライナ戦争や香港の政治的問題、コロナ感染症やメディアの影響、パノプティコンに象徴される監視やイデオロギーなど、現在私たちを取り巻く尖鋭な課題に対する4人の作家の鋭いユーモアと鋭敏な解釈が盛り込まれており、見る人々に作品の意味を考えさせます。 行き過ぎるほど過度なナラティブや様々な課題を扱うキム·フンギュとスン・イジと自分の日記を見せるようなWong Pingのアニメーションは、私たちの日常と私たちを巡る世の中の不条理に対するメッセージとも似ています。また、そのように感じられる理由は、それだけ私たちにとって普遍的なテーマであり、まさに作家たちの作品のように、情報化された都市で生活を営みながら直接感じるより、ガラスの液晶越しに再構築された記号やイメージを通して世界を認識しているからと言えるでしょう。Tala Madaniは、『扇風機』という作品で信頼できない情報の継続的なフィードに私たちが完全に依存していることを鋭く示しました。Tala Madaniは、「私たちは美しさで現実を弱化させたり苦痛を軽減させるモルヒネのような芸術ではなく、意識変化と新しいアイデアを触発させる芸術を必要とする」と言います。
私たちに必要な芸術は、可愛くて親しみやすい作品であったとしても、私たちの認識を喚起できる芸術でなければなりません。この展示を通して、私たちの日常に取り巻くものが自分の考えと感情に沿っているものなのか、それとも無差別的な攻勢を浴びせる皮相的イメージや情報なのかを敏感な視点で考える機会になることを願います。