頬に当たる涼しい風と鼻先をかすめる秋の爽やかな香り。天高く澄み切った青空が広がり、落ち葉のカサカサする音が、秋らしさをより一層高めてくれます。五感で感じるすべてのものが、まるで道しるべのように「今こそが秋を楽しむのにぴったり！」だと教えてくれるようです。
秋を楽しめる最も良い方法といえば、やはり「紅葉狩り」です。色とりどりの紅葉に囲まれた道を歩いていると、まるで秋の真ん中にどぶんと飛び込んでいるような気分になります。この秋、秋の魅力を思う存分楽しみたいなら、ソウルの宮殿に向かってみてはいかがでしょうか。秋色に似ている赤くて青いダンチョン(丹青)が目を引くソウルの宮殿で、秋の趣をしっかりと目に心に焼き付けておきましょう。
キョンボックン は、朝鮮王朝を代表する宮殿として、ハニャン(漢陽)都市計画の中心地でもあります。キョンボックンを中心に北には、プガクサン(北岳山)とイヌァンサン(仁王山)が、南には正門であるクァンファムン(光化門)の前に広い ユクジョ(六曹)通りが広がっています。建物の対称性と非対称性の調和が美しい宮殿であるキョンボックンは、ソウルの5大宮殿の中で最も壮大で上品な建築物と言われています。
キョンボックンは、多くの観光客と市民が訪れる定番の紅葉スポットでもあります。塀の外からも見える黄色いイチョウの葉が、秋の訪れを教えてくれます。秋になると、キョンボックンの正門であるクァンファムンから最奥部のヒャンウォンジョン(香遠亭)まで、広い宮殿全体が色とりどりの紅葉に覆われます。綺麗な韓服を着て、美しい黄金色に輝くイチョウ並木を歩く人々姿は、まさに平和な風景そのものです。
クンジョンジョン(勤政殿)を経てキョンフェル(慶会楼)につながる道、色鮮やかな紅葉に囲まれて秋を楽しむ人々…。 見るだけで心が温まります。1年中緑色を保つ松と色とりどりの紅葉が調和することで、素敵な風景を作り出すキョンフェルからシンムムン(神武門)まで続く散策路もぜひ行ってみてほしい紅葉スポットです。
朝鮮時代の伝統木造建築と西洋式の建造物が共存する唯一の宮殿として、大韓帝国の最初と最後を共にした トクスグン は、その周りのトルダムギルが特に美しいです。上り坂のない平地が続く石垣の道と、この道に沿って続くイチョウ並木と紅葉は、秋の趣を満喫できる最高のスポットです。
ソウルの都心部に位置していますが、中に入ると、外の世界とは違う静かな空気が流れていて、心を落ち着かせてくれます。秋の日差しを浴びて、より鮮やかに見える宮殿のダンチョンと五色もみじの素敵な調和。古い宮殿の伝統とともに長い年月を経てきた樹木が見事に調和した秋の風景は、思わず感嘆の声が出るほど美しく、多くの人を魅了しています。
ヨーロッパの建築様式にならった近代式石造建物であるソクチョジョン(石造殿)は現在、「国立現代美術館トクスグン(徳寿宮)館」として使われています。展示情報などは、ウェブサイトでご確認いただけますので、トクスグンで秋の趣と文化を両方とも楽しんでみるのも良いでしょう。
トクスグンの入り口からすぐ右手に見えるカフェ「サラン(Sarang)」では、ドリンクやお土産などを販売しています。温かいお茶とともに窓越しに広がる池や紅葉といった美しい秋の自然をゆっくり楽しむことができます。一方、トクスグンは、午後8時までご入場いただけます。宮殿の美しい夜を満喫しながら一味違う秋の景色を楽しめるのも、きっと素敵な秋の思い出になるはずです。
トクスグン・トルダムギルのもう一つの見どころは、週末の夕方によく行われる路上ライブです。恋人、友人、家族など、大切な人と手をつないで、秋の紅葉に包まれたトルダムギルを歩いてみましょう。秋は、恋に落ちやすい優しい季節ですから。
チャンギョングン は、セジョン(世宗、朝鮮の第4代国王)が、上王であるテジョン(太宗)を迎えるために建てたスガングン(寿康宮)をより大きく再建したものです。朝鮮王朝の盛衰興亡の中で様々な苦難の歴史を経験し、一時的には大きく毀損されましたが、1980年代以降、現在のチャンギョングンに復元、再建されました。チャンギョングンは、朝鮮の5大宮廷のうち、唯一、東向きの宮殿でもあります。
散り敷いた落ち葉が秋らしさを高めてくれるチャンギョングンは、王宮と紅葉が見事に調和していて、美しい秋の趣を感じさせてくれます。チャンギョングンでの秋の絶頂は、チュンダンジ(春塘池)と呼ばれる池で出会うことができます。チュンダンジ周辺の色とりどりに染まって紅葉と、ここをゆったりと泳ぐ鯉とアヒルの姿は、まるで一枚の絵のようです。
チャンドックン(昌徳宮)の中には、朝鮮時代の王族の生活空間でもあったチャンギョングンがありますが、ここには西洋式温室である「チャンギョングン大温室」があります。秋風で体が寒くなったら、ここに寄ってみましょう。大温室は、近現代に建てられた建築物で、朝鮮の伝統的な王宮とは一味違う雰囲気を醸し出しています。
詳しくは、ウェブサイトをご確認ください。チャンギョングンの敷地に接しているチャンドックン・フウォン(後苑)もソウルで最も有名な紅葉スポットの一つです。この機会に、チャンギョングンのついでにチャンドックンの美しい紅葉もぜひお楽しみください。
韓国の歴史と文化の街、クァンファムン通りには、朝鮮王朝第一の法宮であるキョンボックンを含め、韓国の主要機関が位置しています。こんなところに 大韓民国歴史博物館 があるのは、当たり前のことかもしれません。
大韓民国歴史博物館は、19世紀末の開港期から今日に至るまでの韓国の歴史について学ぶことができる博物館です。地上8階建ての建物に子ども博物館や韓国の歴史を学べる歴史館、寄贈館、企画展示室、様々な体験が可能な体験館などが設けられ、韓国の歴史を総合的に見て体験することができます。また、様々な文化公演も行われていますが、詳しくは、ウェブサイトをご確認の上、お申し込みください。
毎週水曜・土曜日は、夜9時まで開館しているほか、1階・3階には、コインロッカーが設置されていて、旅行者は荷物を預けてから気軽に観覧することができます。また、展示解説・手話ガイドも提供されていますが、詳細はウェブサイトをご参照ください。
大韓民国歴史博物館のベストスポットといえば、8階にある屋外庭園。歴史展示室をゆっくり鑑賞したあと、屋外庭園に上がると、クァンファムン一帯を広く見渡すことができます。爽やかな秋空の下、キョンボックンとプガクサンの美しい風景が目の前に広がります。
韓国の歴史を見て、学んで、体験することはもちろん、クァンファムンの街並みも一望できる大韓民国歴史博物館にお出かけしてみてはいかがでしょうか。ついでに近くのキョンボックンに寄ってみるのもおすすめです。近くから見上げたキョンボックンと上から見渡したキョンボックンの姿を両方とも楽しめるこのチャンスをぜひお見逃しなく！
※ 2022年11月に作成された記事であり、政府の防疫指針に従って、運営と時間の変動がございますので、事前のご確認のもとお越しくださいませ。