ヴィンテージの定義については曖昧で意見が割れるのが一般的ですが、月日が流れてもそこに意味があったことだけは確かなはず。
時々刻々と移り変わるソウルでヴィンテージの魅力へどっぷりと浸れる2店をご紹介します。
文 ヤン・スルア - 写真 キム・ヨンジェ
2015年にオープンした PAIRS もその中のひとつで、今ではセレクトショップとなりましたが、初めは全く違う形の店でした。オープン当時はオーナー夫婦が運営するシューズブランド benisoit のショールームでした。そして音盤、ファッション、小物など、彼らのスタイルに合うアイテムをひとつふたつと紹介しはじめたら、現在のセレクトショップへと変化していったとのこと。英語で靴を数える時の「ペアーズ(pairs)」を店の名前にしたのもこんな理由からでした。
オーナーの目利きはヴィンテージアイテムにも如実に表れています。まず目に入ってくるのは1970~1990年代の音楽と映画好きのオーナーが収集した他でもない、音盤たち。月に一度はアメリカや日本へ自ら赴きLPレコードからカセットテープ、さらには今ではほぼ見かけることのない8トラックカートリッジテープまで、貴重なヴィンテージアイテムに音楽マニアを惹きつけてやみません。
8トラックカートリッジテープ&ヴィンテージリーバイスジーンズ
オーナー自身は今でもCDを聴いて楽しんでいますが、PAIRS へ訪れる人は8トラックカートリッジテープのような昔使われていたメディアをコレクション用に購入する愛好家が多いとのこと。またリーバイスは今日までも健在しているブランドなだけに、過去モデルに価値があります。ヴィンテージリーバイスジーンズは生地の質感、ボタン、リベットなどが時代別に区別されている点がポイント。
Pairs (@pairs.shop)
ソウル龍山区厚岩洞166-11
木~土曜日13:00-19:00KST、日~水定休
+82-2-730-0530
pairs-shop.com
現在、すでに飽和状態とも言われ、その影響は近くのサンスドン(上水洞)、マンウォンドン(望遠洞)、ソンサンドン(城山洞)にまで拡がり巨大化したホンデ(弘大)にも未だ「静かな」という言葉がしっくりくる意外な場所があります。そこは比較的人通りのある通りからは離れたソギョドン(西橋洞)通りにある3階建て住宅にある OVAL。POSTALCO、PAPIER LABO.など主に日本とヨーロッパからの海外ブランド文具を取り扱う店です。落ち着いた雰囲気が漂う広々とした空間に、デザイン性と機能性を兼ね備えた文具が何気なく置かれています。ガラスと鉄骨だけの構造を持つ温室のような空間に光が差し込んだ時、ここだけに存在する造形的要素がさらに際立ちます。
絵画を専攻し、子どもの頃から文具に慣れ親しんできたので、自然とヴィンテージ文具にも魅力を感じるようになったと言います。例えば鉛筆では、今よりも実生活においてはるかに使われていた時代には、技術が製品に集約され、多様なニーズがあったからこそより優れた製品が生産されていたと言います。鉛筆のほか、レターオープナー、しおり、ペーパーウェイトなどヴィンテージ文具はオフラインショップとインスタグラムで紹介しています。
ヴィンテージ鉛筆
OVAL では自分自身が使ってみたいと思うものを探し、発見する過程を楽しむ遊びの空間。鉛筆の形、デザイン、タイポグラフィ、色使いなどを観察し、なによりも直に使ってみてはじめてその文具の真価が分かるのではないでしょうか。また鉛筆は名前に生産された時代、工場などの情報がすべて明示されているので、基本的な知識から拾得し、徐々に知識を増やしていくことができます。
OVAL (@by.oval)
ソウル市マポ(麻浦)区ワウサンロ29ギル48-29
木-日 13:00-20:00 月-水定休
+82-2-325-1981
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