ソウルで最も早くトレンドを生み出し、世の中をリードしているのが聖水洞(ソンスドン)です。多くの人気ブランドがポップアップストアやフラッグシップストアをオープンさせ、このような最先端のトレンドに乗り遅れまいとする人々が日々聖水洞に集まってきます。以前は「韓国のブルックリン」と呼ばれましたが、今や例えるエリアがないほどの独自カラーが生まれていて、もはや「韓国の〇〇」という言い方は当てはまらないようになりました。オンリーワンの魅力を持つ場所として定着した聖水洞の過去と現在、そして未来に会いに出かけてみましょう。
モダンとレトロが共存する街、
「工場地帯」という4文字を見ると、灰色のコンクリートの建物が並ぶ風景が思い浮かぶでしょう。それは、雨が降る直前のくもり空のような感じではないでしょうか。
かつて聖水洞は靴工場や印刷所のほか自動車整備用品などを作る工場が集まる工業団地でした。多い時では約3,000社の製造業者と工場が密集し、90年代以降はベンチャー企業や小規模製造業者が転入してくるという独特な小規模工業地帯が形成されました。しかし、産業構造の変化によって製造業は衰退。聖水洞の工場もひとつふたつと閉鎖されるようになりました。こうして、使われなくなった工場や倉庫ばかりで静まり返った聖水洞ですが、2000年代半ば以降、都市再生事業で新たな姿へと変化していきました。
ここ近年、聖水洞は、古い建物が持つストーリーを生かした街として生まれ変わっています。つい10年前までは閉鎖された工場や倉庫が立ち並ぶ灰色の街だったのに、個性的なショップやアーティストのアトリエが立ち並ぶキラキラした複合文化空間へと生まれ変わっているのです。若いアーティストが集まって壁画を描き、最先端の感覚を持った人々がトレンド生み出し、世界的なブランドがフラッグシップストアをオープンする……。くもり空の色だった聖水洞は、新たな服を着せられて息を吹き返しました。若い人たちが集まり、常に五感を刺激する“何か”で満たされた聖水洞は、今やソウルを代表する「ニュートロ(New+Retro)」の街として新たなストーリーを紡いでいます。
再生で生まれた新たな姿、
空間再生カフェの代表格とされるonion聖水は、1970年代に工場として使われていた建物をリノベーションしてカフェに生まれ変わらせたものです。少し崩れたような赤壁や古いタイル、錆びた鉄の扉をそのまま生かし、「シニル金属」という工場だった頃の名前が書かれた跡も建物のあちこちに残っています。リノベーションした建物に見られる独特な構造や過去と現在が共存する不思議な雰囲気で、オープンするやいなや注目が集まり、すぐに聖水洞を代表するカフェとなりました。
onion聖水の魅力として、よく、それぞれの空間から漂う独特な雰囲気が挙げられますが、それだけでなくパンがおいしいベーカリーカフェとしても有名です。onion聖水で極上のパンをかじりながら、スーパー、食堂、一般家庭、整備所、工場といった変遷を経て現在の姿に生まれ変わるまでの50年の歳月を感じてみましょう。
○住所:ソウル市城東区峨嵯山路9ギル 8
○Instagram: @cafe.onion
個性とセンスが光る人々が集まる「生活文化ソサエティープラットフォーム」を目指す聖水連邦は、古い化学工場をリノベーションして作られた施設です。ライフスタイルショップやカフェ、レストラン、ビール醸造所など様々なショップが集まってそれぞれの魅力を輝かせています。また、ポップアップストアやマーケットのような短期イベントも随時開催されていて、BTSのメンバージミンの誕生日のイベントが開催されたことでも注目されました。
「コ」の字型の赤レンガ造りの建物や、中央にあるガーデンスペースなど、そこかしこがフォトスポットというべき雰囲気で、インフルエンサーをはじめとする若い人々が連日訪れます。古さと新しさが共存する街で非日常の気分に浸れる聖水連邦へ、春の日差しを浴びに行ってみましょう。
○住所:ソウル市城東区聖水2路14ギル 14
○Instagram: @seongsu_federation
職人たちの歴史が漂う
ソウルのハンドメイドシューズの歴史は、1960年代にソウル駅近くの塩川橋(ヨムチョンギョ)付近に工場ができ始めたのが始まりです。それから明洞(ミョンドン)にもハンドメイドシューズのエリアが形成され、その後、それらが現在の聖水洞に移ってきました。一時期、1,000カ所を超える靴工場が操業し、韓国のハンドメイドシューズの80%が聖水洞で生産されていましたが、ハンドメイドシューズが下火になるとともに聖水洞の街からも人けが減っていきました。
そんなハンドメイドシューズ通りが蘇ったのは、ソウル市の都市再生事業がきっかけです。現在の聖水洞に生まれ変わる過程で、ハンドメイドシューズ通りに再びスポットが当たったのです。そこで、ソウル市は、聖水駅を「靴のテーマ駅」とし、ハンドメイドシューズをテーマにした展示スペースを開設。
また、 駅近くには靴のハンドメイドを多くの人に体験してもらう展示館「希望のプラットフォーム」や、靴をモチーフにしたオブジェをそこかしこに設置した「靴のテーマ公園」も造成しました。
ハンドメイドシューズ通りには、職人が仕上げた靴をリーズナブルな価格で購入できる共同店舗や、レザークラフトを体験できる工房もあり、革細工が好きな人たちで連日にぎわっています。若いアーティストが描いた壁画を眺めつつ、革細工のショップを回るというのも、乙なものでしょう。聖水洞のハンドメイドシューズを履いて、春の日に弾むような気分で散策を楽しむのはいかがでしょうか。
○住所:ソウル市城東区演武場7ギル 15 サマンチャンゴ
○HP: 詳しくみる
ソウルを代表する癒しの緑地、
工場地帯と住宅街と商業エリアが混在し、灰色のコンクリートと赤レンガと個性的なフラッグシップストアが交わり合う独特な雰囲気で人々を惹きつける街、聖水洞。そんな聖水洞にはもう一つ別の魅力があります。それはソウルの森です。
朝鮮時代は王様が狩りをする場所であり、その後、ソウルで初めて上水道の水源となった場所でもあるソウルの森。一時期、競馬場やゴルフ場として利用されていたこともありますが、2005年にソウルで初めての市民公園として生まれ変わりました。 爽やかに広がる緑の風景が人々の心に癒しを与えてくれるこの場所は、文化芸術体験などができる「文化芸術公園」、野生動物が生息する自然生態の森と漢江水辺公園が橋で結ばれた「自然生態の森」、自然の植物について学べる「自然体験学習院」、鳥類と植物の観察ができる「湿地生態園」の4つのテーマに分かれています。また、野外ステージや広場のほか「環境遊び場」など様々な施設も備えています。
さらに、35万坪の広大な敷地にはシカやキバノロ、ウサギといった都会ではなかなか見られないような野生動物も生息していて、日常とは違う風景が楽しめることでしょう。この春、桜の名所としても有名なソウルの森で、癒しのひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
○住所:ソウル市城東区トゥクソム路273
○HP: 詳しくみる
ハンガン(漢江)ビューの一味違った魅力 - Viewtifulなソウルの趣と味 - | ビルの間に緑がいっぱい、 ソウルの森に行こう |
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