ソウル旅行ではやりたいことがとにかくたくさん! TO DOリストを作ってタイムスケ ジュールを立てても、友人との好みの違いをすり合わせながら、すべてを叶えるのは至難 の業。ショッピングを楽しみたい派、韓国の伝統文化に触れたい派──。そんな嗜好の異 なる2人の心を、どちらも満たしてくれる新しい選択肢が登場しています。
いま、キョンボックン(景福宮)やプクチョン・ソチョン(北村・西村)エリアまで足を 延ばさなくても、ハンナムドン(漢南洞)やソンス(聖水)といった人気スポットで、韓 国らしい情緒を味わえるカフェが続々とオープン。ショッピングの合間に、モダンなイン テリアと伝統の味が調和した空間で、ほっと一息。今回は、そんな2人旅にもぴったり の、おすすめなお茶カフェをご紹介します。
■1994 SEOUL
五感で季節を感じる、ヨンナムドン(延南洞)の茶菓時間
延南洞の静かな路地裏に佇む3階建ての1994 SEOUL。ここの最上階の洗練されたバーカウ ンターでは、“季節の茶菓コース”を完全予約制で運営中。2ヶ月ごとに変わるメニュー は、厳選された茶葉と手作りの伝統菓子で構成され、五感で季節を感じることができま す。コースは約80分間で、1日4回の時間帯に分かれて提供され、2人からの予約で利用可 能。説明は韓国語でしたが、日本語の説明文が手元に用意されていて安心でした。
私が訪れた2025年4、5月のテーマは「春を抱く三日」。まずは、若い茶葉で作られた韓国 伝統茶葉のウジョン(宇田)緑茶からスタート。爽やかな香りと柔らかな甘みが広がりま す。茶菓子はツツジの花をあしらったお団子や、済州島産のヨモギで作られたソンピョ ン、高麗人参を使った揚げ餅など、見た目にも美しいものばかり。
■OMOT
伝統茶をアートのように楽しむ、特別なティーセレモニー
ソウルの森エリアに位置するOMOTは、韓国伝統茶とデザートのペアリングを、ショーの ようなティーセレモニー形式で楽しめる前衛的なティーハウス。店内はバーのように薄暗 く、オリジナル制作されたメディテーションBGMが流れる空間。ほどよい緊張感が漂い、 自然とお茶に集中できる、非日常の世界へと誘われます。
季節ごとに内容が変わるため、訪れるたびに新しい出会いがあるのも魅力。今年のテーマ は「シプチャンセン(十長生)」──長寿と幸福を願う10のシンボルのうち、太陽、松、 水、鶴がストーリーの軸になっています。暖かくなり始めた4月は、ヨモギとローズマリー のアイスティーをウェルカムドリンクに、みかんの葉を使用した白茶、そしてハングルを 作った世宗大王も愛したという沈香木をブレンドした紅茶など、ここでしか味わえないプ レミアムティーが続きます。
締めくくりは、鶴をイメージしたというヨモギと抹茶のシロップをまとったパフェ。歴史 や効能を聞きながら進む約75分のティーセレモニーはあっという間。完全予約制で運営さ れており、InstagramのDMから気軽に予約可能。
■chachaithe(チャチャイテ)
東西のスイーツ文化が交差する、漢南洞の隠れ家ティールーム
漢南洞の裏路地にひっそり佇む「chachaithe」は、韓国的な感性をベースに、東西のデザー ト文化を調和的に再解釈したお茶菓子とティールームを展開する隠れ家的スポット。ここ はカヌレが有名なデザートブランドKonditorei OVNやキャラメルデザート専門店caramelier Oを手がけるイ・ソヨンさんが運営されています。扉を開けると、左手にはお土産にも ぴったりな茶菓子の販売スペース、右手には韓紙のカーテンをくぐった先にカウンター形 式のティールームが。木の温もりと無機質なアルミニウムが調和したが洗練された雰囲 気。
ティールームでは、予約必須のティーおまかせコースが大人気。韓国産のチャクソル茶と イングリッシュブレックファストを独自に再解釈したチャチャイテブレックファストをは じめ、東洋と西洋のお菓子文化に韓国のエッセンスを加えたペアリングスイーツが楽しめ ます。残念ながら4月はティールームが運休中でしたが、5月中旬から再開予定とのこと。
私は、お土産に黒胡麻サブレとラズベリー&シナモンのリンツァークッキーの詰め合わせ (20,000ウォン)を購入。小さめサイズなので、友人と違う種類をシェアするのも楽しそ う。オランジェットや鳥型クッキーなど、小瓶に入った見た目も可愛いアイテムがそろ い、ギフトにもぴったりです。さらに建物の上階にはクラフト&ライフスタイルショップ WOLも入店。国内外から集めたセンスの光る茶器や雑貨が並び、こちらもぜひ一緒に立 ち寄りたいスポットです。
■ドスヒャン
手仕事が光る、素朴で贅沢な韓国伝統餅をお土産に
アクセスの良いアプクジョン(狎鴎亭)の街中にあるドスヒャンは、伝統的な手法でつく られる北朝鮮式のきな粉餅が看板メニュー。芸能人たちの手土産にも選ばれる、知る人ぞ 知るセレブ御用達スポットです。ほろほろと口の中で溶けるきな粉に包まれたお餅。しっ かりと弾力があ理ながらも歯でスッと噛み切れる繊細さ。そして、驚くほど甘さ控えめな 味わいに、ついついもう一つ……と手が伸びてしまいます。
サイズは16個入り(24,000ウォン)から、50個入りの大容量までラインナップ。小サイズ でも十分なボリューム感があり、シンプルで上品なパッケージはギフトに最適。購入した 翌日昼までは常温保存、その後は冷凍保存が推奨されています。ホテルで友人とシェアし たり、旅行最終日に購入したりするのもおすすめです。
その日に作られた新鮮なお餅を販売しているため、事前予約が安心。午前中であれば直接 来店で購入できることもありますが、特に名節や週末は早めのオーダーが必須です。ソウ ルの街歩きの途中に、手間ひまかけた伝統の味をぜひ手に入れてみてはいかがでしょう か?