最近韓服を着てクァンファムン(光化門)広場を歩いている人の姿をよく見かける。そして近くの高層ビルが建ち並ぶ路地からは焼き肉の美味しそうな匂いが漂う。路地の片隅にある居酒屋で韓国料理をつまみに伝統酒を飲んでいる人々の姿にはなぜかしら暖かい人情が感じられる。韓国で最も現代的かつ都会的な場所と伝統文化が絶妙に調和した風景、ソウルでしか経験できない風景ではないだろうか。
韓国の伝統文化をもっと身近に体験したいなら?ソウルでビビンバやキムチを作ったり、これまで知っていた焼酎やマッコリ他にも、より深みのある伝統酒をも味わってみよう。そして韓国最高級の料理専門家から韓国の伝統料理を学ぼう。このようにソウルの魅力は無限大。ここでは韓国で最も現代的かつ都会的なソウルで体験できる韓国の伝統文化について紹介する。
コリアハウスは、朝鮮前期の文臣の一人であったパク・ペンニョン(朴彭年、1417~1456)の私邸跡に建てられた伝統文化体験空間。韓国政府樹立後には韓国内外の貴賓を迎える迎賓館として使用されていたが、1980年代初期に韓国の伝統文化が体験できる空間として改装され、今に至る。コリアハウスの5棟の韓屋は、韓国の重要無形文化財第74号に指定された大木匠シン・ウンス(申鷹秀)氏がキョンボックン(景福宮)のチャギョンジョン(慈慶殿)を模して建てた建物。
コリアハウスでは、ビビンバ、キムチ、餅など韓国の伝統料理を作ったり、韓服を試着する伝統服飾体験などさまざまな伝統文化プログラムを運営している。宮廷料理専門家が料理の手順やその他多彩な話を聞かせてくれる宮廷韓定食体験は、コリアハウスの代表プログラム。また最近「ハン(韓)スタイル(Han Style)」パッケージプログラムを新設し、宮廷韓定食と韓服を同時に体験できるプログラムも開始した。
コムンゴ(韓国の琴)、カヤグム(伽耶琴)、チャングのような韓国の伝統楽器や優雅で美しい韓国の伝統舞踊などを学ぶ体験プログラムもある。体験プログラムだけでは物足りないなら、コリアハウスの民俗劇場で催される伝統公演を観覧するのもいいだろう。ここではハイレベルの公演が毎晩行われており、公演の途中で英語などの外国語の説明もあるので内容を理解しながら楽しめる。宮廷韓定食を提供する韓国料理専門店に立ち寄るのもコリアハウスを楽しむ方法の一つ。
韓国の伝統的な食品文化を体験したいなら、カンナム(江南)区にある「韓国伝統食品文化館」を訪ねよう。ここでは韓国農林畜産食品部が指定した「大韓民国食品名人」による、彼らの料理の秘法を紹介する体験プログラムが行われている。大韓民国食品名人に指定された名人は全国で79人(2020年1月現在)のみ。伝統食品の各分野で最高の権威を持つ名人が直接講義する「食品名人体験プログラム」は、毎回予約が早期に締め切られるほど人気が高い。
また食品名人体験プログラムは、長い歳月の間、受け継がれてきた伝統食品文化に関する名人達の知恵を伝達する場でもある。名人は各自が守り続けてきた伝統文化について話をしながら、各自の料理の秘法を共有する。参加者は名人の積み重ねたノウハウを学びながら伝統食品作りを体験できるわけだ。実にハイレベルな体験プロクラムだと言える。
スケジュールの都合で食品名人のプログラムに参加できないなら、比較的簡単な伝統料理を紹介している、平日に行われる体験プログラムがおすすめ。また展示室や販売コーナーでは、食品名人が作った20種類余りの国家指定品目を無料で試食または試飲できる。特に伝統酒のソムリエが常在しており、好みや雰囲気に合う伝統酒を推薦してくれる。茶菓子を味わいながらゆとりのある癒しのひと時を過ごしたいなら、カフェで伝統茶と韓国風デザートを注文しよう。
チョンゲチョン(清渓川)のそばにある「K-スタイルハブ(K-Style Hub)」は、韓国観光公社が運営する韓国観光情報案内センター。建物の2階から5階までを使用しており、ここでは韓国旅行に関するさまざまな情報を提供するとともに、韓国の伝統文化と近代の韓国に関する体験プログラムを行っている。
2階の観光案内センターでは、ソウルをはじめ韓国内のさまざまな観光情報を提供している。外国語ができるスタッフが常在しており、外国人が訪れた際に親切にサポートしてくれる。また医療観光案内ブースでは、外国人観光客を対象に「ティーセラピー」体験プログラムを行っており、簡単な質問で訪問者の健康状態をチェックした後、最適な韓方茶を勧めてくれる。また各自の体質や健康状態に合う韓方茶の材料を専用の袋に入れて持ち帰ることもできる。
3階と4階に設けられた韓食文化館は、韓屋の内部の構造をモチーフにして造られている。ここでは四季折々の歳時風俗を紹介するとともに昔の人々が行事のときに食べた料理などを順に紹介しながら、韓国の気候や農業の環境と発酵の科学が相まってどのような料理が生まれたのか詳しく説明してくれる。6人以上の予約制で行われる韓国料理クッキングクラスも大変人気が高い。
5階は地域観光体験館。3か月ごとに地域の特色を生かした工芸体験プログラムがリレー式で行われる。伝統的な材料を用いて工芸作品を作るわけだが、これに現代的な感覚を加味している点が魅力的。体験者の創造力を十分に発揮して独創的な工芸品を作れることから人気を集めているプログラムだ。またここには服飾体験プログラムも常設されており、いつでも訪問すれば韓服が試着できる。気に入った韓服を着て、ソウル旅行の楽しい思い出となる記念写真も撮ろう。
朝鮮時代に士大夫の間で特に人気を集めた酒があった。一樽の酒を造るのに108日もかかるというのだから、その真心と努力を考えたら、それだけの価値が十分にありそうだ。味は言うまでもないだろう。長い月日とともに姿を消した酒も多いが、幸いなことにこの酒だけは残っている。今も先祖代々の酒の造り方を継承し続け、ソウルを代表する伝統酒として親しまれている。その酒がソウル無形文化財第8号の「サムヘジュ(三亥酒)」である。
サムヘジュ(三亥酒)は今もプクチョン(北村)でその伝統が受け継がれている。サムヘジュ(三亥酒)を継承したキム・テクサン名人(大韓民国食品名人第69号)が経営する「サムヘソジュガ(三亥焼酎家)」は、韓国の伝統酒に関心がある人々ならいつでも快く歓迎してくれる場所。「サムヘソジュガ(三亥焼酎家)」ではキム・テクサン名人の手作りの各種伝統酒が味わえる試飲プログラムも行っている。
伝統酒の試飲プログラムでは、マッコリをはじめ清酒の「サムヘジュ(三亥酒)」、これをさらに蒸溜して造る「サムヘ(三亥)焼酎」、スプーンで食べる酒「イファジュ(梨花酒)」、スペシャル試飲プログラムでのみ公開される「サムヘグィジュ(三亥鬼酒)」など10種類余りの酒が順に登場する。酒造方法、材料、発酵度、熟成度などによってそれぞれ違った味と風味を持つ酒を味わいながら、みんなで意見を交わしつつ話に花を咲かせる。実に独特な経験だ。試飲会のときに話してくれる「サムヘジュ(三亥酒)」に関する話は時間が経つのも忘れるくらい興味津々で面白い。愛酒家ならソウルツアーの中に「サムヘジュ(三亥酒)」をぜひ入れてほしい。
「ミュージアムキムチ間」ではキムチに関するさまざまな話が聞ける。1986年に韓国初の「キムチ博物館」としてオープンし、キムチの歴史とともにキムチを中心とした韓国のさまざまな食文化を紹介している。キムチの味や栄養について詳しく知ることができる展示室もあり、キムチに関心がある人なら必ず訪れるべき必須コースだ。
「ミュージアムキムチ間」ではキムチを直接作る体験プログラムも行われる。白菜キムチや白キムチをテーマに専門の講師の説明を聞きながら順を追ってキムチを作る。これまで美味しく食べていたキムチにはどんな食材が使われているのか、どんな方法で作るのか、キムチを美味しく保管する方法など、キムチ作りの全般について学ぶことができるし、自分で作ったキムチは持ち帰ることもできる。またキムチの作り方が書かれたレシピーも無料でもらえるので、自宅でもキムチ作りにチャレンジしよう。
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