ソウル観光のすべて!何でも聞いてください!
10月の街歩きが楽しい季節にソウルを訪れるなら、弘大の西に広がる延禧洞(ヨニドン)がおすすめです。最寄駅の弘大入口駅から徒歩20〜30分、バスなら約5分ほどでアクセスでき、涼しい秋の散策にぴったりのエリア。
景福宮周辺の伝統的な工芸とは一線を画す、洗練されたモダンなクラフトが息づく街で、陶芸ブランドOJA CRAFTやライフスタイルセレクトショップt.t.aを中心に感度の高いスポットを巡ることができます。歩き疲れたら、レコード音楽とともにブランチを楽しめるCAFÉ SINOLAや、静寂に包まれたカフェPROTOKOLLでひと息。そんな現代韓国の美意識とクリエイティブなエネルギーを一日で体感できるおすすめコースをご提案します。
1. OJA CRAFT(オジャクラフト)/“暮らしとアートのあいだ”を形にするクラフトブランド
延南洞からほど近い延禧洞の入口にあるビルの3階にショールームを構えるOJA CRAFT。以前は坡州にあったスタジオ兼ギャラリーから場所を移したのは2025年5月のこと。白壁に黒い床、木の温もりを感じる什器で構成されており、静けさと余白を感じさせ、壁によって4つの空間に仕切られています。生活道具でありながらも造形美を持つ器や花器が並び、クラフトとアートの境界を心地よく行き来するブランドの世界観を体感できるスポットです。
店内には、プレートやマグカップなど日常づかいを意識した器が整然とディスプレイされており、手に取るとその軽さや、なめらかな手触りに作り手の配慮が感じられます。定番のオーバル型から、変化球の菱形まで、食卓にに自然に馴染みながら、日常を静かに格上げしてくれる器たちがバリエーション豊富にラインナップ。
一方で、彫刻的なフォルムの花器やオブジェは、置くだけで空間の空気を変える存在感を放ち、器を超えた“アート”として作品も人気を集めています。使う器から飾るクラフトまで、OJA CRAFTは訪れる人それぞれの生活スタイルに寄り添いながら、暮らしとアートのあいだにある美しさをそっと届けてくれます。
2. t.t.a(ティーティーエー)/延禧洞の路地裏に佇む隠れ家クリエイティブ空間
延禧洞の路地を歩いていると、まるで住宅のようにひっそりと佇むt.t.aに行き当たります。外観は一見ミニマルで控えめな佇まいながら、扉を開いた瞬間、センスあふれる雑貨がずらりと並ぶ空間が現れる隠れ家的構造が印象的。日常とクリエイティブの中間に位置するようなショップ構成で、暮らしを大切にする感度の高い人々が足繁く通う理由がすぐに理解できます。
1階は、ライフスタイル雑貨、家具やファブリック、ファッション雑貨の3つのゾーンに分かれており、無垢材の棚や柔らかな布の質感が心をほぐしてくれるような、ナチュラルであたたかなムードが広がります。ここでは、日々使いながら愛着が増していく道具に出合える感覚があり、椅子やクッション、キッチンウェアなどを眺めるうちに理想の暮らしの妄想をしているような気分に。
2階へ上がると、よりファッションとパーソナルなスタイルへフォーカスした空間へとシフト。左手には、アクセサリーブランドPEALNATEの繊細なジュエリー、右手にはファッションブランドQUINOAによる遊び心溢れるテキスタイルとディテールが目を引く衣服がラインナップ。プロダクトはすべて“生活の延長線上にあるクリエイティブ”という軸で選ばれているそうで、どの階でも心地よさとインスピレーションが共存する、t.t.aならではの世界観が感じられます。
3. CAFÉ SINOLA(カフェ シノラ)延禧洞店/足繁く通いたい韓国喫茶店
2025年5月、延禧洞にオープンしたCAFÉ SINOLA(カフェ シノラ)は、清雲洞から始まり、北村に続く3号店として誕生。スリランカにあるホテルからインスピレーションを受けたという空間は、シノラらしい温もりと凛とした空気感を纏っています。朝からたくさんの人で賑わうほど、カフェ好きな観光客から地元民まで、幅広く愛されるスポットです。
店内はウッドトーンで統一されたナチュラルなインテリアで、出窓席から差し込む柔らかな光が心地よい空気を演出。まるで大人の秘密基地のような落ち着きが漂う中、オープンキッチンではバリスタが一杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れる姿を間近で楽しむことができます。
ブランチタイムにいただいたのは、とろけるチーズとツナの相性が抜群なツナチーズメルトサンド。さらに、多くの来店客が頼んでいたふわふわのオムレツや、私が毎回欠かさず注文するチキンヌードルスープ。どれも量は控えめで、2人でもぺろりといただけます。こだわりのドリップコーヒーにミルクを加えたダッチコーヒーは、まろやかで深い味わい。延禧洞の穏やかな空気の中で、ゆったりとしたひとときを満喫できました。
4. PETER PAN 1978(ピーターパン1978)/ジェニーも愛する延禧洞の老舗ベーカリー
1978年の創業以来、地元住民に愛され続ける老舗ベーカリーPETERPAN 1978。BLACKPINKのジェニーがYouTubeコンテンツで紹介したことで、海外でも一躍有名になったそう。店内に足を踏み入れると、香ばしい香りが迎えてくれます。
食パンからバゲット、菓子パンまで種類が豊富で、どれを買おうか迷ってしまうほど。人気No.1は、なんともキュートな名前の“赤ちゃんのお尻パン“。ふわふわの生地に濃厚なクリームチーズがたっぷり詰まった一品で、一度食べたら病みつきになる美味しさです。さらに、韓国で大人気の塩パンはソフト、ハード、ダブルバターなどバリエーションも豊かで、どれも素材の味わいを活かした絶品です。
PETER PAN 1978では、パンだけでなく焼き菓子も大人気の様子。店内には、クッキーやカヌレ、ケーキなど、見た目にも美しい焼き菓子が並び、どれも手作りの温かみが感じられます。手土産として焼き菓子セットを購入されている方が多く、韓国土産としても喜ばれそうです。
5. PROTOKOLL(プロトコル)/時間と記録を愉しむ、静かなロースタリー
"時間と記録”をテーマにしたカフェPROTOKOLL。広い窓から見える緑豊かな景色は圧巻で、秋にはイチョウの葉が黄金色に染まり、まるで自然と時間の移ろいを同時に味わうかのような特別な空間です。書斎や読書室のような佇まいで、訪れる人はおしゃべりよりも自分の時間を静かに楽しむことができます。
店内は、テーブルが等間隔に並び、勉強や読書にぴったり。各席にはライトが設置され、学生街ならではの集中できる環境が整っています。ついつい長居したくなる心地よさですが、混雑時は入店から3時間という時間制限が設けられているそう。
PROTOKOLLの魅力は空間だけではありません。自家焙煎のコーヒー豆は、丁寧にハンドドリップされ、香り高く濃厚な味わいが楽しめます。訪れるたびに、五感すべてでコーヒーの魅力を堪能できる特別な体験を提供してくれる、延禧洞の隠れた名店です。こだわりのコーヒー豆を旅の記念に持ち帰ってはいかがでしょうか?
延禧洞を一日かけてじっくり巡れば、韓国の新しい美意識とローカルな雰囲気を同時に感じられます。OJA CRAFTでは器やオブジェを通して暮らしとアートの調和を楽しみ、t.t.aでは生活の延長線上にあるクリエイティブな空間でインスピレーションを受ける。そして、CAFÉ SINOLAでは温もり溢れるブランチを、PETER PAN 1978では、地元民に愛される老舗ベーカリーの絶品パンを堪能。最後はカフェPROTOKOLLで、静寂に包まれながら本格コーヒーをゆったりと味わえば、帰る頃にはすっかり心が癒されていました。