韓国・ソウル在住日本人が伝える、ソウルインサイト。
日韓は距離の近さから行き来する旅行者が多い。2023年に韓国を訪れた日本人観光客は231万6000人にものぼると言う。ゆえに、日本のYouTubeやインスタグラムを開けば韓国旅行に関するコンテンツは山のように出てくるし、ソンスやハンナム洞などのホットプレイスへ行けば韓国ブランドのショッパーを持った日本人旅行者をたくさん見かける。SNSの普及により韓国の最新情報を手に入れる機会が増えているからだ。しかし情報が多すぎて逆にどこへ行けばいいのか決められない。また、日本人がたくさんいると海外旅行気分を味わえないのではないだろうか。
ここでは、韓国現地のインフルエンサーや感度の高いソウルの人々が通うローカルスポット、そしてロコな楽しみ方をお届けしたい。そんな私が今1番紹介したいエリアは、最近じわじわと人気が広がっているソスンラギル。
チョンノサムガ駅からは徒歩10分ほど。すぐ近くには観光地として有名なイクソン洞があるが、雰囲気はガラリと変わる。韓屋が立ち並び小さな路地にたくさんの人で賑わうイクソン洞に比べ、落ち着いたトーンの雰囲気。チョンミョ(宗廟)、チャンドッグン(昌徳宮)も近くにあるからかどこか凛とした空気感が漂っている。春は桜から新緑へと、四季折々の自然の美しさを感じることができるところも魅力だ。
春と秋、今この季節におすすめしたい理由のうちのひとつがテラス席のある店が多いこと。
テラス…というよりも軒先にテーブルと椅子がセッティングされ、外でお茶や飲食できるため気候の良い春秋は若者に大人気。ソンスラギルを訪れるインフルエンサーも徐々に増えているのだ。
チョンノサムガポチャンマチャ通りもしかり、外でお酒を飲んだりご飯を食べたりすることが大好きな韓国の人たち。近隣のチャンドッグン(昌徳宮)・ピウォン(秘苑)の新緑が美しい季節。柔らかな風がそよぐ中、開放感たっぷりに昼夜問わずコーヒーやお酒を楽しむことができて最高なのだ。
また、こぢんまりとした店が多く最大4名までなど大人数で訪問すると入れない、または席を確保できない可能性が高いため少人数、ひとり旅にこそおすすめしたいエリア。
FIKEE
まずは、ブックカフェ「FIKEE」で目覚めのコーヒーを注入。
"本とドリンクを楽しむ探検家たちのベースキャンプ”をテーマに、あなただけの探検をしてほしいという店主の想いが込められたお店。テーブルの上にはおすすめの本や誰かへの日記、メモ、自由に描くことのできるメモ紙。知らない誰かからの推薦本。もちろん置いてある本は自由に読むことができる。
特等席の窓際のチェアをゲットできたら、寝そべりながらコーヒー片手に読書タイムも良い。果物がごろり詰まったフルーツサンドウィッチで朝ごはん。本やお店のあちこちに貼られているゲームやメモを通して、日常のあちこちに潜む、楽しさやワクワクする気持ちを思い起こさせてくれる場所だ。
ソウル市チョンノ(鍾路)区ソスンラギル81
地下鉄1号線/3号線/5号線「チョンノサムガ」駅8番出口
ロンドンドライジン、ブリティッシュビールなど、巷ではあまり知られていない多様なイギリスのアルコールを飲むことができる英国式パブ。開店前からテラス席を陣取る人たちで埋まってしまうほど、週末は特に高い人気を誇る。テラス席で石壁を背景に写真を撮るのはマスト。
レトロなヴィンテージテーブルが可愛く、風情ある風景が相待って紅茶がより一層美味しく感じられるというもの。実はこちらのお店、食べ物の販売をしていないため、ドリンクと一緒に食事を楽しみたいなら、他店でテイクアウトしてきた料理を持ち込んで。1ドリンクでもアルコール注文が必須のため要注意。
韓国のお店の「お客さんの好きに自由に過ごしてください」という放置プレイスタイルが大好き。心置きなくおしゃべりしたり、本を読んだり、ぼーっと過ごしたり。気兼ねすることなく好きなごはんやデザートを持ち込んで、ティータイムやアルコールタイムを楽しもう。
ソウル市チョンノ(鍾路)区ソスンラギル115、1階、地下1階
地下鉄1号線/3号線/5号線「チョンノサムガ」駅7番出口
ソスンラキルを奥へ進むと、ひっそりとたたずむ小さなレストランがある。韓国の旬の食材を使い世界各国の調理法で再解釈したコンテンポラリー料理をいただける「IDA」だ。腕を振るうシェフはイム・グァンウとイ・ジェチョル。調理方法に境界はなく味の調和とバランスを重視している。
お昼時は明るい日差しがたっぷり入り、爽快感ある空間。外のテーブルでワインをいただくのも良さそうだ。
4月現在の代表メニューからユッケのペストリー、トリュフポテトニョッキをオーダー。
ミモレットチーズがたっぷりかかった、見た目もユニークなユッケのペストリー。チーズの濃厚な旨味と新鮮なユッケが相性抜群!ワインにぴったりな一品。普段ソウルの市場や居酒屋で食べるユッケとは全く違う料理にアレンジされており、美味しくてひとりで即完食してしまったほど。
ふんわりニョッキにたっぷりのホワイトソース。トリュフの香りにそそられて、きっとワインが進むはず。もちろん、お供のドリンクはノンアルコールでもOK 。
一番人気は2階の大きな窓際席。美しい景観と厳選されたナチュラルワインと一緒に、オリジナリティ溢れる旬の料理を堪能できる。シーズンメニューは約3ヶ月ごとに変わるので、季節ごと訪れる楽しみもある。おなかも心も満たされる、とっておきのレストランだ。
ソウル市チョンノ(鍾路)区ソスンラギル153
地下鉄3号線「アングク」駅3番出口
コーヒーブレイクしたい時はススコーヒーへ。小さな椅子に座って、丁寧に淹れられたドリップコーヒーと自家製のお菓子をいただく。木製家具も風にそよぐオーガンジーのカーテンも、絵本に出てくるようなキッチュで愛らしいテーブルもすべてに温もりを感じるほっこりとするお店。
時の流れがゆっくり感じられる、可愛らしさと小確幸の詰まったカフェ。抹茶ダックワーズにコーヒーがぴったり。
ソウル市チョンノ(鍾路)区ソスンラギル97
地下鉄1号線/3号線/5号線「チョンノサムガ」駅7番出口
1日の終わり、ソウル旅の〆はせっかくだからしっとりと韓国料理とマッコリを楽しみたい。そんなとき、ひとりでふらっと立ち寄れるのが現代韓国的パブ·リス。ほの暗い中ポッと灯るライティングが落ち着く。
人気店のため利用時間は2時間まで。お客様に居心地良く過ごして欲しいとイブルの座布団が敷かれているところにも店主の心遣いを感じる。シンプルでスタイリッシュなインテリアと伝統韓国がバランスよく混ざり合った空間だ。
特製スンドゥブチゲ、スンデ、パスタなどメニュー豊富だが、代表メニューであるエビとセリのチヂミ(ジョン)は欠かせない。韓国ではチヂミとマッコリはセットなのだ。店主におすすめを伺い、アルコール度数8度、人工甘味料・色素・香料は一切使用していないという、プレミアム純粋マッコリ「トボンサン(道峰山)」に。マッコリはボトルだが残ったものは瓶ごと持ち帰りOKなので、ひとりでも気楽にオーダーできる。
口当たり軽やかでキリッとスパイシーなマッコリとサックリと揚げられた出来立てあつあつのチヂミのマリアージュは、もう最高。セリ、エビをまずそれぞれ食べて味を楽しむ。セリ独特の苦味とぷりっぷりエビの旨味がぎゅっと弾け、たまらず箸が止まらない。一緒に食べて味が混ざり合うのもまた美味しい。さらに玉ねぎの漬物を加えると、コクのある酸味が加わって別の美味しさが生まれる…と言ったように、永遠に続く美味しさ。そしてマッコリ。
気持ち良くほろ酔いできる、大人のためのお店。さまざまな韓国伝統酒を取り扱っており、一般的な焼酎やビールはないのでご注意を。またパブなのでアルコール類の注文は必須。利用人数は最大4名まで。ひとり酒はもちろん、友人や恋人と一緒に訪れてゆっくりと夜を過ごすのも良い。
ソウル市チョンノ(鍾路)区ソスンラギル101、1階
地下鉄1号線/3号線/5号線「チョンノサムガ」駅7番出口
宮を囲む石の城壁沿いに位置するソスンラギル。伝統的な韓国文化とモダンな現代の韓国カルチャーが融合したこの場所で、気兼ねなくひとりでふらっとごはんを食べたりお茶したり。日常から離れ、心緩やかに過ごす時間を大切にしたい人にこそ訪れてみてほしい場所だ。
お散歩するのにぴったりな今の季節。ぶらぶらと散策をしながら、気ままな旅を楽しんでみるのはどうでしょうか。
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