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5月のソウルは新緑が美しく、ナムサン(南山)ソウルタワーの麓に広がる解放村をぶらぶらするのにはぴったりだ。ソウル市内からバスで行くにも地下鉄6号線「ノッサピョン」駅からナムサン(南山)ソウルタワーを眺めながら歩いてふらっと散策するのにもおもしろい。



世界各国の大使館も多く、イテウォン(梨泰院)にすぐ近くということもありソウルにいながら異国情緒溢れる雰囲気を楽しめるエリアだ。コロナ禍もあり一時期は元気がなかったが、今ロコからの人気が再沸騰している「新興市場」を始め、週末ごと多くの若者たちで賑わっている注目スポット。

ローカルなおもしろい店が多く、いつ訪れても楽しい大好きな解放村！そのままナムサン(南山)の散歩へ出るのも良し、急な坂道が多いのでスニーカーを履いてたくさん散策してみよう。 

まず朝食にぴったりなのが朝8時からオープンしている、塩パンブームの火付け役となったベーカリー＆ブランチカフェ「O'pato」。1分だって無駄にしたくない貴重な旅時間。早朝から開いているおいしいベーカリーカフェは頼もしい。もちろん、ゆっくり寝坊したい時はブランチに変更しても良い。向かいには同店が運営するワインバー「Ori」も。

ふわふわな食感と絶妙なあまじょっぱさがクセになる「Ham & Cheese Salt Bread」が私のワンピック。コーヒーのテイクアウトカップまで可愛いので、テイクアウトしてハンガン(漢江)ピクニックのお供にしてもグッド。

5月と言えど韓国も日本に負けないほど日中は暑いので、クールダウンしたい時はジェラートショップ「cotati」に寄ってひんやり。店頭に置いてあるメニュー用紙に記載してオーダーを。

魅力的なメニューが多くて迷うけれど、この日は「チェリーフレンチバニラ」＆「レモンカードヨーグルト」。「アールグレイキャラメル」＆「リコッタチーズフィグ」に。甘さ控えめな爽やかな美味しに舌鼓。清涼感に包まれて、散歩を再開。これから坂道が待っているけれど頑張れそうな予感。

「cotati」から坂道を登っていると現れるこぢんまりとした可愛らしいカフェは今年の春、解放村に移転してきたばかりの有名店「akfebinhbc」。フレンチトーストとワインの組み合わせが人気でいつも店前で写真を撮る人たちで賑わっている（車やバイクの通りも多いので気をつけて！）。

ウッドトーンが心地良く、何時間でもダラダラと過ごせてしまいそうなコージーな空間が魅力。店の名前である「ak（10月）」と「feb（2月）」は、店長のお父様とお母様の誕生日月を合わせて作ったという愛のこもったネーミング。「ここに来た時は人の顔色を伺わず、自由に気楽に心地よい時間を楽しんでほしい」というコンセプトからもイテウォン(梨泰院)エリアのスピリットを感じる。

その場で焼いてくれるフレンチトーストは、甘さ控えめ。塩をつけて味わうスタイルもユニーク。おかず感覚で味わえるので、あっという間に完食できてしまう。シンプルな味わいなので、ワインとも相性が良さそうだ。

ヘバンチョン(解放村)・シンフン(新興)市場を散策

1945年以降、海外から帰国してきた人や北に戻れなくなってしまった人たちが定住してきた解放村。その当時に開かれた「新興市場」は時代の流れとともに徐々に衰退していたが、ソウル市が2015年から2020年までの6年間、解放村一帯を「都市再生先導地域」に選定し、再活性化プロジェクトを進めた結果、市場内に若者向けの居酒屋やカフェ、雑貨店、ギャラリーなどが続々と入店。見事賑わいを取り戻し、2016年頃は特に「ホットプレイス」として高い人気を誇った場所だ。

昔ながらのレトロな市場の雰囲気と異文化が混じり合った小洒落た店が多く、どこへ入ろうかいつも迷ってしまうが、美味しいコーヒーを飲みたい時は「UPSTANDING COFFEE」へ。

カフェの空間デザインは韓国を代表するデザインスタジオ「THE FIRST PENGUIN」が手掛けている。1階から屋上までを突き抜ける、美しい螺旋階段がシグネチャー。昇り降りする姿までも絵になってしまう。

 市場に元々あった古い建物をリノベーションして今の姿へ変身したものの、最初はどうしていいかわからないほど古くボロボロの内装だったそう。しかし、建物の構造や味わいは生かし、見事にスタイリッシュなカフェへ生まれ変わらせている。バリスタさんたちがコーヒーを淹れているところを一枚の絵のように階上からみることができるのも、おもしろい。

 コーヒーマッチプ（コーヒーのおいしい店）としても定評があり、コーヒー好きにもおすすめしたいカフェ。インダストリアルな空間も、親切なバリスタさんたちの笑顔も、おいしいコーヒーにも、とにかく心が満たされる。ひとりでのんびり過ごすにもぴったりな一軒なのだ。

居酒屋やレストラン、ワインバー、魅力的なお店がたくさんある新興市場…でもせっかく韓国に来たなら韓国らしい料理、鶏の丸焼きはどうだろう。 

韓国産ニンニクをたっぷり使った代表メニュー「ニンニクの漢方トンタッ」は、ぜひ食べてほしい。ジュージューと音を立てて出てくる焼き立ての鶏の丸焼きは、見ているだけ…いや、香ばしい匂いからも食欲をそそられる。



皮はパリッと。もち米、銀杏、なつめ、高麗人参がぎっしり詰まった鶏の丸焼き、なんと調味料を使わずに作られているというから驚き。鶏そのものの美味しさとニンニクの旨味で十分においしいのだ。（ジャンクに見えるけれど意外に体に良い料理かもしれない）

リアルタイムに鉄板の余熱で焼かれているジュワジュワの焦がしニンニクがたまらない…！チキンと一緒に食べれば絶対的においしいわけで…もちろん自家製ソースを好みに合わせてつけて味わっても良いが、そのままでも十分においしい。 「おいしい！」よりも「旨い！」が似合うダイナミックさがある一品。

たっぷりの千切りキャベツと精米所で直接搾られた新鮮なエゴマ油で作られた「エゴマ油入り混ぜそば」はシャクシャクとした食感までおいしい、夏にぴったりな一品。むしろ一人ならこれだけサクッと食べに来たいくらいだ。

 放送局のPDが運営している、こだわりの詰まったマッチプ。人気店のため、ピークタイムを外して訪れるのがベター。

食後のデザートは隠れ家ティールームでピンスを頬張る。上品なミルクティーピンス、もはやドリンクなのかもしれないほど軽やか。羽より軽いかもしれないフワッフワな食感。口の中に入れた瞬間で溶けてしまう切ないデザート。

食べ終わる頃には体温が5℃は下がっていそうなほど、ひんやり。解放村は坂道が急で歩いて登るにはなかなかハード。特に夏場は汗だくになること間違いなしな立地なので、涼やかな気分にしてくれる夏の頼れる甘味所は欠かせない。

 ソウル市ヨンサン(龍山)区シンフンロ95-21、2階
 地下鉄6号線「ノッサピョン」駅2番出口からヨンサン(龍山)02バスに乗車、解放村五叉路で下車

 @ifchq

もし時間があれば、市場を出て少し下った場所にある、街の小さな書店「Storage Book & Film」にも寄ってみよう。

独立型書店としてオープン時から変わらない姿でいてくれる、個性豊かな本や可愛い雑貨が並ぶ、静かで落ち着く空間だ。お気に入りの一冊を見つけて自分への贈り物にするのも、きっと旅の思い出になるはず。