visitseoul.net

カラッとした過ごしやすい気候の秋のソウルは、いろんなエリアを散策するのにぴったりな季節。カフェ巡り、ハンガン(漢江)ピクニックなど楽しめるコンテンツがたくさんありますが、今回は本好きさんにおすすめしたい、ひとりでものんびり気ままに旅できる「ブッカンス」をご紹介。ブッカンスとはホカンス同様、ブック＋バカンスを足して作られた造語。

ソウルには、本を読みながらゆったりと過ごせる素敵な場所がたくさんあるんです。



韓国文学やデザインに興味がある方、癒されながらふらりと旅したい方。デジタルデトックスをしながら、自分の好きな本を片手に旅してみるのはどうでしょう？読書時間はもちろん、空間デザインやコーヒー、文化体験を楽しむことのできる旅をお届けします。

01 森のシェルターでひと休み



1968年以降ソウル・イヌァンサン(仁王山)とプガクサン(北岳山)に導入された約30ヶ所余りの軍哨所や警戒施設。そのため長年市民の出入りが統制されていましたが、2018年イヌァンサン(仁王山)の全面解放により関連施設は大部分撤去されました。その中でも兵士の移住空間だった施設を市民のための憩いの場としてリノベーションしたのが、「イヌァンサン(仁王山)森のシェルター」。



森のシェルターという名そのままに、木々に囲まれた隠れ家のような作り。壁一面ガラス窓になっているため、明るく開放感たっぷり。韓国が得意とする引き算の美学が詰まった空間デザインがスタイリッシュで素敵。

公共施設のため飲料などの販売はないので水やお茶、コーヒーなどを持っていくのがベター。麓にあるブックカフェで腹ごしらえしてから訪れるのも良いですね。



自分の好きな本を選んだら一人用ソファを確保。青い空と木々を眺めながら、ゆったりソファで読書タイム。周りを囲む自然にも、木のぬくもりを感じるインテリアにもほっとします。



何もせずただ本を読む時間。特段何があるわけでもないけれど、満ち足りた気持ちになれる場所なのです。

最後に大事なことをひとつ。ここに辿り着くまで、山登りレベルの階段を登る必要があるため、スニーカー＆カジュアルなスタイルで行くことをおすすめします。

どうりでランニングルックで訪れている人が多いはずだと納得したのでした。

ソウル市チョンノ(鐘路)区チョンウンドン(淸雲洞)山4-36

 地下鉄3号線「キョンボックン(政府ソウル庁舎)」駅3番出口から1020、7212、7022番支線バスに乗車し、
      「チャハムン峠.ユン・ドンジュ文学館」停留所で下車後、約780m移動（徒歩22分）
 https://naver.me/xUEXr3N3 

※NAVERで検索して出てくる住所はブックカフェのもの。ブックカフェのすぐ近くにある階段を上りきった頂上の左手にあります。階段の写真は入り口で、こんなものではありません。


02 キョンボックン(景福宮)にある朝鮮王朝時代にタイムスリップしたような読書室



復元・修理作業を経て2016年から図書館として一般公開された、キョンボックン(景福宮)のシンムムン(神武門)方面に位置する「キョンボックン(景福宮)チプオクジェ(集玉斎)」。廊下続きにはパルウジョン(八隅亭)があり、華やかな清風の飾りはそのままに、読書できる図書館となっています。



建物の名称である「集玉」は玉のような貴重な宝物を集めるという意味があり、清で購入した西洋文物関連4万冊余りの書籍がここに保管されていたのだそう。日本語翻訳版の韓国文学や朝鮮王朝時代の歴史本などもあるので、重厚な歴史を感じながら読書に耽ることもできますよ。



艶やかで美しい装飾は目を見張るものがあり、この空間にいるだけでも浪漫を感じることができそう。

 ソウル市チョンノ(鐘路)区サジクロ161

 地下鉄3号線「キョンボックン(政府ソウル庁舎)」駅5番出口から約1.1km（徒歩24分）

※キョンボックン(景福宮)の内部にあり、キョンボックン(景福宮)に入場する必要があります。


03 作業室のようなカフェで猫と戯れる



マンウォン駅からほど近い古びたアパートの一室、扉を開ければ別世界。こんな場所に本当にあるの？と疑ってしまうほどの超隠れ家カフェ「HHSS House」。



それもそのはず。もともとは自分の事務所用に借りた場所だけれど、自然と人が集まるようになり、カフェとして運営することになったと語るのは建築デザイナーの店主。



店内に置いてある本は自由に読め、インテリア会社らしくデザイン書もちらほら。ブチ模様のかわいい猫·エッグちゃんもいます。



アイスドリップコーヒーにミソコグマ(笑顔のさつまいも)をオーダー。可愛い笑顔を一粒ずつ丁寧に描いてくれたと思うとありがたくてほっこり。

窓からそよぐ風、音楽、黙々と仕事する人、本を読む人。各々が自由に過ごしている、肩の力の抜ける居心地の良さ。2杯目は温かいカフェオレを飲みながら読書また読書。ついつい長居してしまう、のんびり過ごせる空間です。

 ソウル市マポ(麻浦)区ワールドカップロ113、3階303号

 地下鉄6号線「マンウォン」駅2番出口から約372m（徒歩5分）
 https://www.instagram.com/hhss.house/

04 大人だけが入場できる贅沢な漫画喫茶



カルチャーを愛する代表がイテウォン(梨泰院)に作った洗練された漫画喫茶、「GRAPHIC」。15,000ウォンの入場料を支払えばドリンクは飲み放題、本も漫画も読み放題。外観をはじめ空間デザインにもこだわった美しい建築にも注目を。



「SLAM DUNK」「リアル」「MASTER キートン」などなど！日本を代表する漫画も勢揃い！(もちろん韓国語版なのですが…)スラムダンクは韓国でも大人気で特に今の30〜40代男性たちから愛されている作品なのです。



成人のみ入場可能。PC禁止(キーを叩く音が鳴るため)という、読書を満喫するための環境作りも徹底。韓国語がわからなくても楽しめる、グラフィティブックやアートブックも豊富。静かな空間で思う存分、好きなものに触れる。子供の頃のワクワクを思い出せる場所です。

 

 ソウル市ヨンサン(龍山)区フェナムロ39ギル33

 地下鉄6号線「ノッサピョン」駅2番出口から約1km（徒歩17分）
 地下鉄6号線「ノッサピョン」駅4番出口からマウルバス・ヨンサン(龍山)03に乗車し、「カヤラン前」停留所で下車後、約181ｍ移動（徒歩4分）
 https://www.instagram.com/graphic.fan/ 

05 本と珈琲を楽しむなら



マンウォンドン(望遠洞)の小さなビルの2階にあるカフェ「ピルダン(筆談)」。所狭しとぎゅっと積み上げられた本が書斎のよう。



ジャズ喫茶からインスピレーションを受け、良い音楽と一緒に美味しいコーヒーを楽しむことができる、和やかでナチュラルな空間をコンセプトにしているのだそう。店内にロースタリー機があり、コーヒーへのこだわりを感じます。





一杯一杯丁寧に淹れられたドリップコーヒーをお供に読書時間。栄養ドリンクよりも効くのはやっぱり美味しいコーヒー。ダイヤル式電話機や昭和感漂うガラス照明、食器、レトロなインテリアとヴィンテージ雑貨が可愛い。



週末は混み合うので早めの時間に訪問すれば、ウェイティングなくゆっくり過ごせる確率が高いですよ。

 ソウル市マポ(麻浦)区トンギョロ55、2階

地下鉄6号線「マンウォン」駅2番出口から約516m（徒歩7分）
 https://www.instagram.com/lounge_continuum/

06 野外で楽しめる図書館って？



読書を通してさまざまな文化体験に触れることができる、ソウルの人たちから愛されている「ソウル野外図書館」。夏の間は涼しくなる夕方以降、夜の図書館として毎日運営されており今年は11月10日まで運営中。

キョンボックン(景福宮)を臨むクァンファムン(光化門)広場に点々とカラフルなクッションとテントが並ぶ「クァンファムン(光化門)本マダン」では、本を片手に寝転んでいる子連れファミリーや観光客、カップルたちで賑わっています。



この日はたまたま野外映画上映が行われていたので参加。席が開いていれば予約なしで入場できて、無料！ドリンク付きな上、半分ほど凍らせたスポーツドリンクというセンス。キラキラと光る本棚から、韓国でも人気の作家·益田ミリさんの本をピック。



韓国のお盆であるチュソク(秋夕)連休の最終日に上映されていたのは「ラ・ブーム(La Boum)」というフランス映画。1980年に公開されフランスで大ヒットとなった作品なのだそう。



キョンボックン(景福宮)を背景にフランス映画を観るなんて、洒落ている…そして映画に出てくる服が全部可愛い…！こんな風になにげなく訪れたのに、新しい文化に触れることができるのって楽しい。心に栄養を蓄えているような感じですね。韓国は行政が運営するイベントがおもしろくて、無料で参加できるコンテンツも多いので若者たちが集まるのも大納得。



公式インスタグラムで運営時間やイベントなど最新情報が更新されているので、近くを訪れる際はぜひチェックしてみて。

ソウル市チュン(中)区セジョンデロ110

 地下鉄1号線/2号線「シチョン」駅5番出口から約89m（徒歩1分）
 https://www.instagram.com/seouloutdoorlibrary.g/